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法学部が設置する自治実務講座を5月19日にポートアイランド第1キャンパスで行い、第6回授業では、「兵庫県のビジョンと政策形成:兵庫県は人口が減りつづけるなかでなぜ若者・Z世代への支援に取り組むことにしたのか」をテーマに、兵庫県企画部地域創生課の平田晋作副課長が講師を務めました。
本講座では、橋本圭多教授と小川一茂教授の運営のもと、本学が包括連携協定を締結している兵庫県、神戸市、明石市の現役職員をゲストスピーカー講師として迎え、テーマ別講義やワークショップなど多彩な授業を行っています。
今回の授業では、兵庫県が価値観の変化や災害など予測が難しい時代に対応するため、従来の総合計画から発展した新たな指針となる「ビジョン」へと転換したなど、兵庫県のビジョン策定の考え方と、人口減少時代に向けた政策の取り組みを紹介しました。
ビジョン策定にあたっては、車座での会議やアンケートを通じて県民の声を丁寧に吸い上げ、2050年にめざす姿から逆算する「バックキャスト」の思考を用いているといいます。掲げられた三つのキーワードは、誰も取り残さない「包摂」、選択肢を狭めない「挑戦」、皆が飛躍する「躍動」です。具体例として、女性活躍を進めるミモザ企業の取り組み、障がいのある方も旅を楽しめるユニバーサルツーリズム条例、地場産業やスーパーコンピュータ富岳・SPring-8など科学技術基盤を生かした産業振興、過疎地域への移住促進など、多彩な施策を紹介しました。
一方で、兵庫県の人口は2025年の530万人から2070年には340万人まで減少する見通しであることも示しました。これは毎年ひとつの市町が消滅していくほどの規模であり、雇用や知識・技術の喪失、公共サービスやインフラ維持の困難、コミュニティの自治機能の低下、空き家の増加、農地・山林の荒廃、鳥獣被害・土砂災害の拡大などの課題が複雑に絡み合います。また、人口減少の主な要因は自然減ですが、社会動態に目を向けると、ファミリー層が転入している一方、20歳代が就職を機に県外へと流出している実態が明らかになっています。これらを踏まえ県は、奨学金の負担が結婚や出産の足かせになっているという若者の声を出発点に、県立大学授業料の無償化、兵庫型奨学金返済支援制度、HYOGO若者「海外武者修行」応援プロジェクト、不妊治療支援や子育て世帯への住宅支援などを束ねた「若者・Z世代応援パッケージ」を打ち出しています。
講義の結びでは、住民の利害を調整しながら政策を推進することの難しさについて述べました。政策はある程度ターゲットを明確にしないと効果を発揮できないため、なぜそのような対象設定を行ったのかについて説明責任が求められます。したがって、明確な目的と根拠となる「事実」と、最大限の合意形成を図る努力である「共感」が欠かせないことを強調しました。
統計やデータだけに頼らず現地に足を運び、直接声を聴く姿勢こそが、県民を応援団に変えていくとのことです。さらに、AIの時代だからこそ「問いの立て方」次第で課題設定そのものを誤りかねないこと、行政と民間の領域が近づくなかで公民連携の視点がますます求められていることが語られ、受講生にとって学びの多い時間となりました。
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