お知らせ

ホーム > お知らせ一覧 > 法学会第1回学術講演会を開催しました

法学会第1回学術講演会を開催しました

                                                      2023/04/26

神戸学院大学法学会第1回講演会が4月20日、オンライン併用方式によりポートアイランド第1キャンパスで行われ、法学部の藤川直樹准教授が「近代ドイツにおける<王統>の法と<国家>の法」の演題で講演しました。講演では、藤川准教授の近著『王統と国家――近代ドイツ公法学における〈君侯法〉の展開〔神戸学院大学法学研究叢書第27巻〕』(弘文堂)の問題関心と成果が法学部2年次生向けに分かりやすく解説されました。

講演の前半では、同書がドイツ公法学の展開の国制史的与件であった「世襲君主制」に関わる問題領域を君侯法と呼び、伝統的な王統の法と近代的な国家の法との緊張と相克に対峙した公法学の学問的営為を「問題史」的なアプローチから解明するものであることが説明されました。藤川准教授は、1830年代のハノーファー憲法紛争と1890年代のリッペ侯位継承紛争を素材に、それらがいずれも〈君侯法〉の重要なテーマである「男系親同意」に関わる問題であることを明らかにし、それぞれの事案に対する当時の法学者の議論を紹介しました。

講演の後半では、こうしたテーマに取り組むに至った経緯が紹介されました。学部2年生の頃に美濃部達吉の憲法学に関心を持った藤川准教授は、戦前の国体政体二元説への興味をから、ドイツの公法学者ヘルマン・レーム(Hermann Rehm, 1862-1917)を知りたいと考えるようになったといいます。大学院時代に取り組んだレームの研究領域が君侯法だったことから、このテーマに本格的に取り組むことを学問的使命と考えるようになったと話しました。藤川准教授は、「マイナーなテーマを一生懸命やっている自覚も悩みもあったが、とくかくこの法学者のことを知ることが実存を賭けた問題だった。しかし、その研究がなければ本書の成果はありえなかっただろう」と語り、最後に学生へのメッセージとして、「小さくても良いので、解決しなければ生命が充足されないような問いを見つけて欲しい」と呼びかけました。

当日、会場では200人を超える学生と教職員が聴講したほか、オンラインでは学外の大学院生・研究者らも参加し、盛会に終わりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
講演する藤川准教授

講演する藤川准教授

   
 
藤川准教授(左)と講演会の趣旨について話す岡田豊基法学部教授

藤川准教授(左)と講演会の趣旨について話す岡田豊基法学部教授

   
 
藤川准教授の講演を聴く学生や教職員ら

藤川准教授の講演を聴く学生や教職員ら