神戸学院大学法学部では、2015年4月30日にジャーナリストの西谷文和氏を講師にお招きにし、第11回文化相互理解シンポジウムを開催しました。西谷氏は大阪市立大学卒業後、1985年から吹田市役所に勤務されてきましたが、2004年末にフリー・ジャーナリストに転身され、イラク、アフガニスタン、シリアなどの中東地域で精力的に取材をされてこられた方です。
今回のシンポジウムでは西谷氏に「シリア内戦とイスラム国の正体」というテーマでお話しいただきました。西谷氏はまず本年1月に発生した人質事件から日本と「イスラム国(IS)」との関わりを語り、シリアで発生した内戦の背景を歴史的経緯から概説しました。さらになぜISが 誕生したかを説明した上で、現在の「統治形態」に関して述べ、なぜイラクおよびシリアでの戦争が終わらないかを国内の対立構造とともに軍産複合体の問題、 石油や天然ガスなどの資源と絡んだ多国間の利権争いなどから分析しました。そして内戦を解決するために何を行い、何をなすべきでないかをお話しされまし た。現在進行中のこれらの戦争が宗教や単なる宗派対立に起因するものではないことや「戦争プロパガンダ」の問題を指摘し、紛争・内戦を予防するために、私 たちは真実をみきわめる、いわゆる「メディア・リテラシー」の必要性に関しても語られました。
質疑応答のセッションでは、ISの 拡散、身代金支払いに伴う問題、今後の展開などに関する質問がよせられました。現地での豊富な取材と貴重な画像を交えながら、イラクやシリアでの複雑な紛 争要因を解決し、状況を変えていくことは、容易ではないけれども可能であるという西谷氏の言葉は多くの参加者の心に強く響いたと思います。
本シンポジウムには本学学生、教職員ならびに学外から約250名の方にご参加いただきました。本企画の実施に際し、ご協力ならびにお手伝いくださいました方々にお礼申し上げます。
法学部教授 杉木明子
西谷文和氏
満員の教室でメモを取りながら聞き入る学生たち
質問にメモを取りながら聞き入る西谷氏