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第18回文化相互理解シンポジウムが開催されました

 法学部が主催する第18回文化相互理解シンポジウムが9日、ポートアイランドキャンパスB号館210教室で開催されました。今回のシンポジウムでは、『国際交流の理論と実践』をテーマに、名古屋大学情報学研究科附属グローバルメディア研究センター准教授の井原伸浩さんと、神戸を中心にコンテンポラリーダンサー・振付師・講師として活躍されている宮原千尋さんにご講演いただきました。
 井原さんは、主に国際交流の理念と歴史について講演されました。国際関係論および国際関係史を専門とされる井原さんは、日本外交において、国際交流という概念がどのように生じ、重視され、国際交流が実践としても欠かせないものであると考えられるようになってきたのかについて説明されました。また、ご自身の研究テーマでもある国家の「パブリック・ディプロマシー(public diplomacy)」という観点から、国際交流が国家のイメージ改善に活用されてきたことを指摘。さらに、国家-組織-個人をつなぐ多角的な視座から国際交流を位置づけるという視座の重要性について強調されました。
 宮原さんには、文化的な国際交流を実地に進められている若手の女性アーティストという立場から、国際交流の実践について講演を行っていただきました。宮原さんは、これまで国内外を問わず、ダンスを学び、パフォーマンス活動を行い、イベントの企画や主催も行ってこられました。その中で、今回、宮原さんが主に取り上げられたのは、ヴェトナムと日本のダンス交流活動です。宮原さんは、2016年から現地ダンサーと共同で作品を企画・制作し、それらをヴェトナムのホーチミン市および日本国内で発表してこられました。そうした企画や制作を練り上げていく過程で「生活に根付いた価値観や考え方に相違が明らかになっていくものの、基礎となる技術に共通の土台がある。良い作品をともに築きあげていくという思いや情熱を共有さえできていれば、互いの相違による困難を乗り越えることは、互いの理解を深める契機にすらなる」と実体験を踏まえて説かれました。
 最後に、本学法学部の佐藤一進准教授から、法学部が過去10年にわたって国際交流事業として取り組んできた「日中韓5大学による英語スピーチ大会」に関する紹介が行われました。また、文化相互理解シンポジウムのテーマに照らし合わせて、法学部が参加・運営してきた「日中韓5大学による英語スピーチ大会」にどのような主旨や意義があるのかを説明しました。佐藤准教授は、その時々の国家間関係や国際政治情勢に惑わされない、草の根レベルの地道な人的交流の重要性を強調し、国際交流は、「目的」であると同時に「手段」でもあると指摘。「国際交流は『他者の理解』につながるものであるが、その他者への理解とはすなわち『自己の理解』にもつながるものである。それゆえに、国際的な人的交流を通して、われわれは自分自身を見つめ直し、さらに自分の殻を破るきっかけにもなる」と話しました。

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