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第20回文化相互理解シンポジウムが開かれました

 法学部主催の第20回文化相互理解シンポジウム(企画・主催:岩田将幸教授)が、12月10日に開催されました。ポートアイランド第1キャンパスB号館215教室での対面方式と、Zoom配信によるオンライン方式を兼ねたハイブリッド方式での開催となりました。20回目を迎える同シンポジウムのテーマは、「言葉によるコミュニケーションと非言語的なコミュニケーション ―プレゼンテーションの技術と表現を考える―」。名古屋大学大学院情報学研究科准教授の井原伸浩さんと、神戸を中心にコンテンポラリーダンサー・振付師・講師として活躍されている宮原千尋さんが講演されました。
 まず井原さんには、「言葉によるコミュニケーション」についてご講演いただきました。井原さんは、プレゼンテーションの目的は、「説明」ではなく「説得」にある。プレゼンテーションの技術を向上させることは、すなわち「説得」する力を向上させることであると話されました。そして、「説得」するための技術として、「課題➾方法➾結果・考察➾結論」という構成を意識して練り上げるとともに、アイデアやコンセプトの「潜在的な価値」を一貫してその構成に織り込むことが重要だと説かれました。プレゼンテーションで提示したアイデアやコンセプトを学ぶ「前と後」で、どのような「変化」が生じ、どのような「効果」がもたらされるかを、聴衆に具体的かつ丁寧に解説していくこと。それが、「潜在的な価値」の理解を促す上でキーとなると、井原さんは述べられました。
 続いて宮原さんは、「非言語的なコミュニケーション」による表現方法について話され、言語を通じてより正確な意思疎通が可能になるものの、言語に頼るコミュニケーションは、その言葉に精通していない人たちを置き去りにする可能性もあると指摘されました。そして、言葉を用いないコミュニケーションでも、われわれの内面を外面的なものとして表すことは可能であるし、またその術も存在する。宮原さんは「身体を用いて心象風景を投影し、他者に意思を示して、共感(共通するもの)を分かち合うことは、実のところ、われわれが日常的に行っていることであり、芸術的な身体表現もその延長線上にある」と説明されました。そして、「それはときに言葉を用いたコミュニケーションよりも、根源的かつ普遍的である」と述べられました。さらに、「伝える側と伝えられる側の間では、伝達、理解、共感、承認といった異なるものを求めたコミュニケーションが相互的に行われており、その中で、言語に拠らない表現が果たしている役割はわれわれが一般に想像するよりも大きい」と改めて強調されました。
 井原さんと宮原さんの講演に続いて、本学法学部4年次生の伊藤健太さんによるプレゼンテーションの実践が行われました。テーマは、「離職の原因とキャリアを考える -“About the Reasons for Unemployment and a Built up of the Career”-」であり、英語と日本語を交えながらの発表となりました。伊藤さんは、本来、法学部独自の国際交流事業である日中韓5大学による英語スピーチ大会(今年度は中国の浙江工商大学にて開催予定)に参加する予定で、英語でプレゼンテーションの準備を進めていました。しかし、あいにく新型コロナウィルスの感染拡大によって今年度は英語スピーチ大会が中止されたため、同シンポジウムの機会に発表の場が設けられました。伊藤さんは、若年の離職に焦点をあて、さまざまなデータを駆使しながら、若者の離職原因やその背景を論理的に分析しました。その上で、今後、若者がキャリア形成をしていくにあたって、どのような意識や考えを持つことが必要になるのかを考察し、聴講していた後輩学生に示唆しました。

井原さん

講師を務められた井原伸浩さん

宮原さん

講師を務められた宮原千尋さん

伊藤くん

伊藤健太さん(法学部4年次生)