講演会「日米経済協調の利点―自由貿易及び経済改革促進―」(法学部、駐大阪・神戸アメリカ総領事館共催)が7月16日(木)、ポートアイラ ンドキャンパスで開催され、ブリガム・ヤング大学経済学部のスコット・C・ブラッドフォード准教授が講演。同准教授は、日米貿易および日本の経済改革をと りあげ、主要分野における日米経済協力がいかに日本経済を活性化させ、二国間の経済関係を強化し、さらには世界経済全体にとって利益となるかについて講じ ました。
日米経済関係の重要性について、ブラッドフォード准教授はまず、中国の経済的台頭と日本の不景気にもかかわらず、日本の経済は中国経済とは異 なり、法の支配と知的財産権の保護に基づいた成熟した経済であるため重要であると述べました。日本は第二次世界大戦以降、平和的に近代化に成功した数少な い国のひとつとして、米国との経済協力によって地域の安定化および世界経済の健全性に貢献できると述べました。
次に、さまざまなデータにより、日米経済関係の概観を示しました。2014年の日本に対する米国の貿易赤字は530億ドル(うち400億ドル は自動車および部品)で、政治問題になっています。また、米国から日本への海外直接投資はGDPの8%であり、他のOECD諸国の半分から3分の1と低い 数字です。
日米貿易について、日本は米国にとって農業市場の開放などの懸念事項があるにもかかわらず、労働や環境基準の高さから、他国よりも有利な貿易 相手国です。もし日本がサービス分野だけでも米国と自由貿易協定を締結すれば、日本のGDPは1.8%、米国のGDPは1.1%増大するため、農業の自由 化をする必要はないとの考えを示しました。なお、農業自由化も含めた自由貿易協定の場合の試算によると、日本のGDPは2.3%、米国のGDPは1.2% 増大します。
日本の経済改革について、日本は先進国の中で最も規制が多い国です。日本は生産性を向上させる必要があり、それによって国家の債務を減らせます。経済改革による利益は、貿易開放による利益を上回ります。たとえば、規制緩和と労働市場改革によって外国人労働者が増加します。
最後にブラッドフォード准教授は、日米経済関係の重要性を過小評価すべきでないこと、貿易開放および経済改革は大きな利益をもたらし、かつアジアおよび世界の繁栄と自由を支援すると結論づけました。
講演後、学生からは日本の産業における非効率的な分野や、移民労働者の受け入れ分野や経済的効果、AIIB、アベノミクスの第三の矢に関するさらに突っ込んだ質問が相次ぎました。